この度は、当院で発生しました新型コロナウイルス感染症クラスターにつきまして、さらに感染の拡大を認め、患者様、そのご家族様をはじめ、各関係機関の皆さまには大変ご心配、ご迷惑をおかけしており申し訳ございません。
また、地域の皆さまにも多大なご心配をおかけしており、心よりお詫び申し上げます。
早速ですが、昨日からの経過をご報告申し上げます。
患者様、ご家族様、地域の方々には、当院からの情報伝達が不十分なため、連日ご心配をおかけしておりますが、どうぞご不明な点などございましたらお申しつけ下さい。できる限り、対応させていただきます。何卒ご理解ご協力いただきますようお願い申し上げます。
令和4年1月31日時点で、入院患者様28名(うち1名は1/27転院)、職員15名(前日より1名増加)の感染が確認されました。
八代保健所のご指導の下、1月30日実施された75名の職員のうち12名が陰性、残りの63名の提出分は結果待ちの状況でしたが、昨日全員の陰性との報告を受けました。
31日も引き続き認知症病棟以外の全職員のPCR検査を66名実施し、結果を待っている状況です。残りの検査対象者は6名です。八代保健所・医師会のご配慮で、無理を押して一日に多数の検査をおこなっていただいており、本当にありがとうございます。
結果待ちであった全員が陰性との安堵の知らせもつかの間で、午後、認知症治療棟の職員1名の感染が判明しました。当職員は、初めの病棟関係者一斉のPCR検査にて陰性の結果を受けていましたが、その後、発熱あり、他医療機関において抗原検査にて陽性と判定されました。発熱した時点で病棟への勤務はしておりませんが、一旦陰性と判定された後の感染陽性の報告に詰所内の空気のながれが一瞬止まりました。「明日は我が身」という言葉がみんなの心に浮んだことでしょう。当職員の体調も気になりますが、療養中の職員の健康管理の担当者にしっかりとフォローはゆだねて、気持ちを切りかえて仕事モードに戻しました。
クラスター発生の認知症病棟につきましては、昨日待望の内服治療薬が5名様分到着しました。薬剤部が機転を利かせて立ち回ってくれたおかげです。本薬剤の流通が不安定とのことで、保健所からもご心配いただきました。ありがとうございます。
何分、新薬であり、適応、効果、副作用についてまだわかっていないリスクがあります。しかし、高齢で、合併症をお持ちの患者様に1日でも早く元気を取り戻していただくために使用することを、それぞれのご家族様にご連絡し、同意いただいた上で昨夕より開始いたしました。幸いこれまでのところ、5名様ともアレルギーなど急性の変化はみられておりません。内服の場合、使用したい患者様の中で嚥下状態の良い方となると、限られてきます。また、発症から6日目以降に開始した場合は有効性が裏付けされていないことから、それぞれの患者様によって、使用可能な期間がさらに限られます。新薬に期待しながらも、患者様にとって有害事象が出現しないか、効果がみられない可能性もあるのではないか、という緊張感をもって、注意深く、観察してまいります。
入院患者様のご家族におかれましては、ご心配をおかけして申し訳ありません。できる限り、職員よりお電話にてご病状やご様子をお伝えするよう努めておりますが、まだまだ不十分と思います。何時でも結構です。ご心配な場合はいつでもご連絡ください。その時間に対応できない場合は、後ほどこちらから折り返しご連絡いたします。どうか、ご理解ご協力のほどをお願い申し上げます。
病院全体としましては、昨日は月曜でもあり、外来業務の縮小(診察診療の縮小・デイケアと作業療法の中止)については、皆様に大変ご迷惑をおかけしました。今後しばらくは、この体制かと思われます。外来・入院での精神科疾患の診療に最も大切な、患者様方との対話ができていない現状を、大変心苦しく、申し訳なく思います。現在、医師はそれぞれに役割を持ち、患者様の診療に携わっておりますので、ご病状の変化など、躊躇されずに、近くの職員にお申し出ください。できる限り迅速に対応いたしますので、どうぞよろしくお願いします。
クラスター発生当初より、八代保健所、八代医師会、県の障がい者支援課、熊本精神科協会の皆さまには、大変ご多忙な中にも親身になってご協力いただいており、心より感謝申し上げます。
昨日からのDPAT(益城病院、八代更生病院より4名)派遣に引き続き、本日はあおば病院より貴重なスタッフを派遣していただくことになっています。どこの医療機関でも職員不足のある中、この窮地を救ってくださる皆さまに感謝、感謝の毎日です。ありがとうございます。この数日間、一緒に働く仲間がいる、人がいるだけでこんなに安心できるものなんだとつくづく感じています。
クラスター発生時には、熊本県感染管理ネットワークを通じて、くまもと心療病院から感染管理認定看護師の方が駆けつけて下さいました。的確なアドバイスと落ち着いたお話しぶりで、不安で舞い上がっている私たちを、ふんわり軌道修正していただきました。(その後もご自分のお仕事の合間にもこちらのことを気遣っていただいて、温かいお声かけを頂いております。ありがとうございます!)。昨日は、認知症治療棟の90代の女性の患者様が、おそらく職員のせわしく動く異様な雰囲気を敏感に感じ取られ、「私は、寝とってよかっかい、なんかせんばん時は言うてよ、甘えて寝とってよかっかい、ごめんね」と言われ、はっとさせられました。職員の不安は患者様に直に伝わります。心療病院の認定看護師さんのお顔が思い浮かびました。今一度、気を引き締めて、そして心にはゆとりを持って、職員たちの不安にも寄り添いながら、取り組んでいこうと思います。
改めて、平成会が地域の皆さまに支えられていることを実感します。いつの日か、私たちも皆さまに恩返しできるよう、体調管理に留意しながら本日も活動いたします。